前回の記事はこちら
こんにちは。
最近よく夢を見ます。見ます、というより「起きても覚えている」事が多いです。
眠りが浅いんでしょうか。
この所で一番印象的だった夢は、
実家の母親が何も言わずに出かけて、連絡が一切取れなくなって皆で心配している所に
ひょっこり帰ってきて、私が「皆がどれだけ心配したと思ってるんだー!」とブチギレ
母親の顔を油性マジックで塗りつぶすという夢です。
夢って脈絡なさすぎて怖いですよね。
本題です。
以前の記事で鉱物ディプレイ用の棚を組み立てた事を書いた際に
チョロっと「パイライトキューブを磨いて綺麗にした」
という事を書きました。
今回はその時のことも含め、キューブ以外の磨きにくいパイライトについて
輝きを取り戻す為に何かやってみた事とその結果について書いていきたいと思います。
鉱物棚の一角に住むコイツら、パイライト達ですが
ご覧の通り(?)錆びに錆びまくって酷い有様になってます。
特にアンモナイトがパイライト化した標本なんて灰色になってしまってます。
(キューブだけ既に磨き済みなので輝いてますが)
手前のモゴク産スピネル(母岩付き)も若干引いてるように見えるほどです。
でも、「錆びすぎ・・・」って引いて端っこに寄っちゃってるわけじゃなく
最初から母岩の端っこにくっついてるスピネルなんですよ。当たり前ですけど。
本題に戻ります。
鉱物集めたり飾ったりするのって、大半の人がそうだと思うんですけど
「綺麗」だからじゃないですか?
その美しさに惹かれて購入し、飾るわけじゃないですか?
こんな錆びまくったパイライト、綺麗って言えますか?
否!言えないと思います。(反語)
アンモナイトのパイライト化は造形的な観点から言えば綺麗とも言えなくないですが
でもやっぱり輝いてたほうがより一層綺麗じゃないですか。
愚者の金とも呼ばれる程特徴的なその輝きが美しいさの秘訣じゃないですか。
このままじゃ「愚者の錆」なんです。我が家のパイライトは。
と、いう事で!
前置きが長くなりましたが今回は
の3つの形態のパイライトに輝きを取り戻す試みをしていきたいと思います!
先ずは既に以前に紹介したキューブのピカピカ化から。
錆びてるって感じではないですが、表面のくすみが酷くて鏡面感がなくなってしまっています。
こういうパイライトキューブは形的に平面が多く、磨きやすいので「磨き」によって鏡面を取り戻したいと思います。
こういうとき立方晶みたいな単純な形の結晶はありがたいですね。
磨くのに使用したのは激落ちくん等、誰もが一度は目にしたことのあるだろう
「メラミンスポンジ」です。
別に激落ちくんじゃなくて大丈夫です。メラミンスポンジなら100均で売ってるのでそれでOK
単純にこれでキューブの「面」の部分を擦っていきます。
結果こうなりました。
右半分が擦ってない所、左半分が擦った所です。もう結果は目に見えてますね。
ピッカピカに戻りました。ありがとうございます。
別に力も根気も要りません。数回軽くシャシャシャシャっと擦ってやればピカピカになります。
私は水をつけずにやりましたが、それでもこれだけピカピカになったので水で濡らす必要は多分無いと思います。
という事で3分もかからずたちまちピカピカになってしまいました。
この方法、オススメです!
パイライトキューブがくすんで困ってる人は是非お試しください。
ただ、母岩に付いているタイプのキューブは要注意です。
母岩タイプの大半はスペイン産だと思うんですが、そのタイプは母岩が非常に脆く
簡単にキューブがポロっと外れてしまいます。
輸送途中にハズレてしまい商品にならなくなるのを防ぐため、
予め輸送前にわざと外し、輸送後に接着剤でくっつけている業者もあるくらいだそうです。
なので、あまり母岩付きのものを強くこすると外れてしまう可能性が高いです。
注意しましょう。とは言え、メラミンスポンジで本当に軽くこするだけでピカピカになるので母岩付きでも注意すればこの方法は使えます。
次はゴツゴツ野郎とパイ化アンモナイトです。
まずはゴツゴツ野郎から。
こういう形態のパイライトって何て呼べば良いんでしょう?クラスター?とはちょっと違うような気がします。
兎も角、このゴツゴツは私が人生で初めて入手した鉱物標本でもう20年以上の付き合いがあります。
購入したのは記憶によれば6歳頃、某古墳公園の前に建っていた鉱物とは何も関係ないお土産屋(現在は火事で消失)で手に入れたものです。
おばあちゃんにねだって買ってもらいました。
買ったのが6歳頃のわんぱくざかりだった為、それはもう砂場に連れて行ったり、水で濡らしたり凍らせたり投げたり転がしたりと
過酷すぎる運命を辿らせてしまった為に錆びまくってしまいました。
河原に転がっててもギリ拾わないくらいの薄汚さです・・・。
しょうがないです。キラキラした石なんて6歳にとったら宝物ですからね。
そりゃ持ち歩きますし、お風呂にも一緒に入ります。
そしてもう一つ
パイ化アンモナイトです。
これも結構昔、もう10年以上前の新宿ショーで購入したので時間とともに錆び錆びになってしまいました。
昔は斜めから除くと、アンモ内部のパイライトがキラキラして綺麗だったんですが・・・。
最初の写真で写ってるでかいアンモナイトも錆び錆びなんですが、アレは高かったので万が一錆取り失敗したらショックすぎて暫く動けなくなる可能性を感じた為
今回はこの小さいやつを使います。最悪大失敗しても立ち直れるので。
小さいアンモは犠牲になったのだ・・・
ゴツゴツもアンモも、その形のせいでメラミンスポンジでは磨けない為別の方法を模索します。
・・・模索の結果、こいつを使う事にしました。
クエン酸です。
クエン酸は掃除とかに良く使われる酸で、安全な物質のヤツです。
高校時代は部活の疲労回復目的で良く飲まされてました。死ぬほど酸っぱいです。でも掃除用に販売されてるのは飲んじゃ駄目です。
これも100均で多分売ってます。私はホムセンで買いました。300円くらいですかね?
液タイプじゃなく、濃度を自分で調節できる粉タイプがオススメです。
何故クエン酸を選んだかと言うと、ちょっとネットで「金属の錆落とし」について調べた所
クエン酸の液に漬けるという記事があったからです。
黄鉄鉱なんてほぼ鉄(と硫黄)だし、まぁ日常で使う金物の錆落としが通用するだろ!
の精神ですね。
粉末のクエン酸をぬるま湯に溶いて、それにパイライトを漬けていきます。
クエン酸を溶く量は適当です。私は結構多めに溶きました。
ぬるま湯なのも、その方が反応進むかな?と思ったからです。
クエン酸は安全な物質なので素手で触っても大丈夫ですが、手が酸っぱくなります。
酸っぱくなりたくない人は割り箸とか使ってください。
クエン酸水溶液に漬けてすぐ、何か・・・なんだコレ?水面にキラキラが浮かんできました。
これヤバいやつか?アンモの方からは泡も出てるし。
ゴツゴツの方は静かなもんなのでとりあえずこのまま様子見です。
最悪アンモの方は殉職してもらうという形で・・・。
(後々調べた所、このキラキラの正体とアンモからの泡の正体が判明したので後述します。)
そして漬ける事5時間くらい?正直すっかり忘れててかなり放置してしまいました。
あわててどんなもんか様子を見てみると・・・
ピッ・・・カピカになっていました。ちょっと想像超えてきました。
写真は拭いて乾燥した後ですが、びっくりするくらいピッカピカです。
(ちゃんと乾燥させないとまた錆びますからね!)
是非ビフォーの写真と見比べて頂きたい!
表面が溶けているというような事もなく、結晶の細かい筋状の凹凸も健在です。
まったくもって綺麗に表面のくすみや錆だけ落ちてます。
勿論変色とかそういうのも一切見られません。大成功ですね。
一方、アンモ君の方は
綺麗にはなりました。ゴツゴツ程じゃないけど表面の光沢も戻ってますし、
内部のキラキラも復活してます。
というか、多分買った時もこんなもんだったと思います。
ただ一点・・・お気づきでしょうか?
処理前と後で決定的に違ってしまっている所があります。
そう・・・
中心の貝殻質の部分が完全に溶けてなくなりました。
クエン酸液に漬けた時に浮いてきたキラキラと気泡はコレが溶けてたからだったんですね。
実はこの標本、裏面は貝殻質が一面に残ってて、虹色の遊色が出てたんですがそれも全部溶けてしまいました・・・。
その点は非常に残念です。逆に表面の中心部の造形は貝殻が溶ける事によってハッキリ鮮明になったのでそこはラッキーでしたね。
後々調べてみた所、貝殻の成分は主に炭酸カルシウムなので酸に対して非常に弱いそうで、
拾ってきた貝殻の表面をクエン酸で溶かして綺麗に処理している人なんかのブログも出てきました。
何千万年前の標本と言えど、絶滅種と言えどやはりそこは巻き貝の一種であったようで
貝殻もきちんと炭酸カルシウムだったようです。
なので、クエン酸で溶けてしまいました!!
やっぱり最初からデカイ本命のアンモナイトでやらなくてよかったです。
しかし同時にデカイ方のパイ化アンモナイトの輝きを復活させる計画が完全に頓挫したとも言えます。
他に思いつく方法として
・重曹ペーストをつけて歯ブラシで磨く
・貝殻部分に付着しないよう工夫してクエン酸処理する
くらいしかありませんが、機会とやる気が奇跡的に一致する事があれば上記の方法を試してこの記事に追記したいと思います。
という事でいかがだったでしょうか?
以前の記事で「パイライトなんて安いんだから錆びたら新しいの買えよ」みたいな事を言った記憶がありますが
安い高いじゃなくて、個々の標本には思い出が詰まってるわけですからね。
値段に関わらず「買い直す」なんて手段はやっぱ良くないと思います。(熱い手のひら返し)
パイライトが錆びてしまってどうにかしたい人、結果に対して責任は一切負いませんが
是非錆とりにチャレンジしてみてください!
2023年12月 追記
ブログのアクセス履歴を見るとこちらの記事が結構人気あるようで、なかなかのアクセスがあります。
なのでちょっとだけ文章を推敲しなおしました。
因みに大きいパイライト化アンモナイトの件ですが、一か八かでクエン酸処理した所予想以上に貝殻質の部分が大量に残っていたようで
ボッロボロになってしまいました。本気で悲しいです。
次回記事!eBayで売っている鉱物標本は、果たして・・・書きました!